新築マンション購入時に注意したい3つのこと(住宅ローン、金利、登記)

マンションを購入することは、一生に一度の大きな買い物となる方が多いかと存じます。私も昨年結婚を機にマンションを購入致しましたが、初めての不動産購入ということで全くの無知でした。無知=搾取されるという構図はこの不動産購入時にも当てはまります。スーパーで玉ねぎ一つ100円、あらあっちのスーパーの方が安いわね、なんて言ってる方も高額なマンション購入については、不動産会社や銀行の言われるがままにローンを組み、マンションを購入し、登記をする方も多い様に見受けられます。そこで今回は私がマンション購入に際し身につけた、マンション購入時に注意したい3つのポイントについてご説明差し上げたいと思います。

1. 住宅ローン

住宅ローンを選ぶ際には①不動産会社の提携ローン②ご自身の勤め先からの社員ローン③お勤め先提携銀行ローン④ご自身で探す一般住宅ローンの4つの選択肢があります。

①不動産会社提携ローン

文字どおり不動産会社が提携する銀行からの住宅ローンです。不動産会社には日頃付き合いのある銀行がおり、その銀行からは比較的競争力のある金利条件を取得することができます。但しその代わりに不動産会社は提携ローン手数料を物件の購入者に課します。この提携ローン手数料とは言い換えれば、「うちのおかげで安い金利でお金を借りられるんだからその対価に手数料ちょうだい」という性格のものです(1件あたり数万円程)。

②社員ローン

お勤め先の企業が社員向けに住宅資金の一部または全額を貸し出す制度があるところもございます。福利厚生の一環として社員向けに貸し出すものである為、低金利であったり一定期間金利が掛からないなんてところもありますので、こちらの有無はチェックし、もしこの制度があるのであれば、可能な限り支払い金利が下がる様に借入を検討された方が良いです。

③お勤め先企業提携ローン

お勤め先にも普段取引のある銀行があるかと思います。その銀行が取引先企業の社員向けに低金利で住宅ローンを提供しております。私の場合も比較検討の結果、最も競争力のある金利条件でしたので、こちらを利用致しました。

④一般住宅ローン

電車のつり革広告などにも出ている一般的な住宅ローンです。もしこちらを利用される場合は、ネットバンク(じぶん銀行住信SBI銀行、イオン銀行ソニー銀行など)が競争力のある金利条件を出していることが多いので是非検討してみてください。

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2. 金利 / 返済方法

住宅ローンの返済には借りたお金を割賦で返済する元本とその元本にかかる金利(利息)があります。金利には変動金利と固定金利の2種類があり、返済方法についても元本均等返済と元利均等返済の2種類があります。一般の方は、あまり馴染みないと思われますのでこちらで簡単にご説明致します。

①変動金利

その時々の銀行店頭金利に応じて金利が変動するものです。将来の金利動向はわかりませんので一番リスクを取らない方法ですが、将来的に金利が上昇すればその分支払い金利が増加致します(もちろん金利が下がれば減少致します)。

②固定金利

一定期間の金利をあらかじめ固定するものです(借入から3年、5年、10年、全期間など)。金利の変動リスクは銀行が負いますので、銀行は変動金利よりも少し高い利率で固定することを条件としますが、将来的に店頭金利が上昇したとしても一定期間は固定した金利を払うだけで済みます。

③元本均等返済

毎月一定額の元本を返済する方法です。借入初期の償還(元本返済と利息の支払い)については、借入金の残額が多くの残っている為その分金利も多くなりますが、返済が進むにつれて返済額が減っていきます。支払い金利の総額という意味では元本均等の方が安くなりますが、初期の返済が重くなるというデメリットもあります。

④元利均等返済

毎月元本・金利を含めて一定額を返済する方法です。借入期間を通して毎月の返済額は変わりませんが、借入初期は金利の支払いが大部分を占めますので、元本が減りにくく、支払い利息の総額は元本均等返済に比べ多くなります(住宅ローンのシミュレーションにはみかローンさんの高機能住宅ローンシミュレーションをご参考下さい)。

 

ここで私がオススメしたいのは10年固定+元利均等返済の組み合わせです現在、住宅ローン金利は歴史的な安さになっており、将来は上がる可能性が高いと言われておりますので、このタイミングで固定するのが良いと思います。加えて10年を超える期間の金利を固定するの場合は、10年未満のそれと比べ、金利が一気に上がりますので(銀行は10年以上先の金利変動リスクを取らなければいけない為、その分マージンを乗せる)、10年超の固定はオススメ致しません。また支払総額が多くなる元利均等返済をオススメする理由としては、足元の低金利によりあまり積極的に返済してもメリットがあまりなく、かつ、借入から最初の10年間はできるだけ多くの住宅ローン減税を受ける様、元本をできるだけ減らしたくないからです。

<住宅ローン減税>

住宅ローン減税とはある一定条件を満たしている住宅に対し、10年間毎年ローン借入金額の1%を40万円を限度に所得税から(減額しきれない場合は住民税から)減税する制度です。初年度は確定申告が必要となりますが、次年度以降は確定申告が不要となります(確定申告のやり方についてはまた別の会でご説明致します)。

 

(要件)

住宅の床面積が50平方メートル以上(マンションの場合は、専有部分の床面積)で、床面積の2分の1以上の部分が専ら自己の居住の用に供されること

※床面積は登記簿に表示されている床面積により判断します。

住宅ローンの返済期間が10年以上で、借入先は原則金融機関であること。0.2%以上の金利であれば勤務先からの借り入れも可能だが、親族や知人からの借り入れは住宅ローンとはみなされない。

取得日から6ヶ月以内に入居し、各年の12月31日まで引き続いて住んでいること

④控除を受ける年の合計所得金額が3千万円以下であること。

⑤居住の用に供した年と、その前後の2年ずつの5年間に、居住用財産を譲渡した場合

 の長期譲渡所得の課税の特例などの適用を受けていないこと。

⑤中古住宅の場合には、マンションなどの耐火建築物の建物の場合には、その取得の日以前25年以内に建築されたものであること。耐火建築物以外の建物の場合には、その取得の日以前20年以内に建築されたものであること。これに該当しない建物の場合には、一定の耐震基準に適合するものであること(平成17年4月1日以後に取得をした場合に限る)。

 

(住宅ローン減税シミュレーター)

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尚、奥様がフルタイムで働かれている場合は、ローンを自分と奥様名義に分けることで二人共住宅ローン控除を受けられることができます(二人で最大80万円/年の節税です)

3. 登記

新築のマンションを購入した場合、必要となる登記費用は①建物表題登記②所有権保存登記③抵当権設定登記の3種類です。

①建物表題登記

竣工したばかりのマンションは登記簿にまだ存在していません。その為、登記簿に建物の存在を載せる必要があり、これを建物表題登記と言います。建物表題登記に登録免許税は掛りませんので、登記にかかる費用はまるまる土地家屋調査士の報酬です(一般的には7~9万円ですがマンション丸ごと一棟で行いますので、物件あたりの値段はこれよりも安いはずですので高い場合はご注意を)。

②所有権保存登記

各物件の所有者を登記簿に載せる為のものです。登記費用としては、登録免許税(法務省認定価格の4/1000、もしくは以下条件を満たした建物の場合は1.5/1000) + 司法書士の報酬(10万円程)です。

 

(新築住宅の保存登記の特例)

 1. 自己居住用の住宅

 2. 新築又は取得後1年以内に登記されたもの

 3. 床面積(登記簿面積)50m2以上(→参照)

 

③抵当権設定登記

銀行から借入を行う際に銀行は借入金が必ず返済されるよう物件を担保として押さえます。これを抵当権設定登記と言います。登記費用としては、登録免許税(借入額の4/1000、もしくは以下条件を満たした建物の場合は1/1000) + 司法書士の報酬(10万円程)です。

 

(新築住宅の抵当権設定の特例)

  1. 自己の住宅として使用するために抵当権の目的となる建物を新築したこと。

  2. 抵当権の目的となる建物を新築するための、貸金の貸付等に関わる設定登記であること。

  3. 登記簿上の床面積が50㎡以上(上限なし)である。

  4. 新築後1年以内に登記すること。

 

この中で①の建物表題登記は一棟まるごと不動産会社が契約する土地家屋調査士が行いますので、個人手配することは難しいですが、②、③の所有権保存・抵当権設定登記に関しては個人で司法書士に依頼することもできます。悪質な不動産会社の場合は、購入者が無知なのを良いことに登記費用をぼったくっている場合もありますので、不動産屋や銀行の言いなりにならないよう注意しましょう。

 4. まとめ

高額なマンションは初期費用も高額となりますので、私が申し上げたこの3つのことに注意すれば、初期費用をかなり下げることができます(私自身も当初見込んでいたよりも数十万円単位で下げることができました)。不動産屋によってはマンションの売買契約書に「登記は売主=不動産会社が手配するものとする」などと記載されている場合もありますが、その場合は契約前に交渉して自己手配にしましょう

高い買い物である為、数十万円は比較的小さく見えてしまいますが、一般の家庭が一月暮らせる大金です。その大金を節約するべく全力を尽くすべきではありませんでしょうか。皆様もマンション購入の際は税金等も加味した上で色々比較検討し、最もお得な方法を選択しましょう!